糀の持つ、不思議な調和力。

人生いろいろとあるもので、このところ気の休まることのない日々を過ごしています。
微生物たちの声が聴き取れずタイミングを見逃したり見極めを誤ったり。微生物たちのバトンリレーがうまく行かなかったり。しばらくパンも焼いていないし、しばらく発酵ものの仕込みは休もうと思っていました。

ある日、ふとした瞬間に
「そうだ、糀を起こそう‼︎」
ひらめいたようにそう思いました。

市販の種糀を使った場合の製麹は約三日間かかります。状態の見極めや温度管理など、出糀に至るまでのプロセスをよく見てあげなければなりません。今まで何度となく作ってきましたが、自分の内が乱れていると仕上がりに影響が出てくるのも糀です。

今、糀を起こしても良いものはできないだろうし、米や種糀を無駄にしてしまうかもしれない。それなのに、いやだからこそ糀に向かいたくなったのかもしれません。

製麹には幸福感というか不思議な調和力があります。それはおそらくわたしたち日本人のルーツに触れるからなのかもしれません。

夏に材木屋のおじさんが6枚も作ってくれた糀蓋と、ネットで嘘みたいな価格で購入できた台すを使ってみました。道具が変わると感じが違い、ん⁈ という場面もありましたが、五日かけて糀を起こしました。
仕上がりにムラはありますが、米も種糀も無駄にしないで済みました。

そして、やっぱ糀に触れていると気持ちが落ち着き元気が出ます。

そろそろ味噌仕込みの時期です。たくさん糀を起こして来年一年分の味噌を仕込もうっと。


発酵料理ラボoryzae(オリゼ)

oryzae(オリゼ)とは日本の国菌、糀菌Aspergillus oryzae(アスペルギルス・オリゼ)のこと。 実りの季節、稲の穂先に稲霊と呼ばれる、黒い球状の塊ができます。これが糀菌のもとです。これを培養して味噌や醤油や酒などを醸造してきた先人の知恵と糀菌への敬意を込めて「発酵料理ラボoryzae」と名付けました。 稲霊からの糀づくりをはじめ様々な発酵食づくりと丁寧な暮らしをお伝えしています。

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