渋柿に夢中。

柿の魅力に圧倒されている。
先日、自作の柿渋で染色をしたのと季節的に柿の季節が巡ってきたのが重なったこともあり、ここのところ柿のことばかり考えている。果物として好物というわけではないのだけれど、柿はほんとうに奥が深くて素晴らしい。先人たちは暮らしの中で柿を活かし、柿に助けられてきた、その素晴らしさを存分に肌身で感じたいと思う今日この頃である。

この秋に庭に渋柿の木を植えようと思っている。どうせなら、うんと渋の強い、柿タンニンたっぷりの木がいいと思い、奈良のとある店に問い合わせてみた。昔からある山の柿で、天王柿や鶴の子という品種が良いらしいのだが、苗木としてはほぼ出回っていない。まして県外には、とのことだった。
手に入りやすいという西条や愛宕あたりにしようかと思っている。

桃栗三年柿八年…柿が実る頃には興味が失せているかもしれないが、庭で育った柿の木からお茶や酢や寿司や柿渋を作ることを妄想しては一人ほくそ笑んでいる。

そう、何と言っても柿の最大の魅力は渋にあるのだと思う。柿渋は虫除け効果や堅牢性から染色に。
殺菌力を生かして歯磨き剤やうがい薬や台所用品に散布したり、撥水力や防腐効果を生かして木材や漁網、和傘に塗布したり、また匂いを吸着することから石鹸に配合したりと枚挙に暇がない。

渋を抜いて干したなら、高級和菓子顔負けのドライフルーツになるし、実を潰して瓶に詰めれば柿酢ができる。

葉は殺菌力を生かして寿司を包んだり、干せばビタミンCとポリフェノールたっぷりの健康茶になる。
余談だが、柿の葉寿司に使われている柿の葉はわたしが知っているそれよりかなり大きい。そのような品種があるのかと思って、奈良のとある柿の葉寿司屋さんに訊いたところ、実を育てずに葉だけを大きく育てているそうな。実に行く栄養を葉に注ぐことで大きくなるのだとか。なるほど、なるほど。

ヘタはしゃっくり止めての薬として古くけら用いられてきたそうである。

また柿は高級木材として茶室などに使われてきた。

とまあ、柿は実にわたしたちの暮らしに溶け込み、豊かさを与えてくれているのだが、その柿の素晴らしさを伝えている本がある。
農文協から出ている 浜崎 貞弘氏による「柿づくし」である。
有名な本なのでご存知の方も多いと思う。

ちなみに先日の簡単な柿渋染めは、こちらの筆者が編み出した方法である。

柿愛溢れる一冊を是非お手に取ってみてはいかがでしょうか?



発酵料理ラボoryzae(オリゼ)

oryzae(オリゼ)とは日本の国菌、糀菌Aspergillus oryzae(アスペルギルス・オリゼ)のこと。 実りの季節、稲の穂先に稲霊と呼ばれる、黒い球状の塊ができます。これが糀菌のもとです。これを培養して味噌や醤油や酒などを醸造してきた先人の知恵と糀菌への敬意を込めて「発酵料理ラボoryzae」と名付けました。 稲霊からの糀づくりをはじめ様々な発酵食づくりと丁寧な暮らしをお伝えしています。

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